咲きごろが、食べごろ。
美しく咲きほこり「きれいだな」と愛でられる前に摘み取られてしまう花が、福山にあることをご存知ですか。それが食用ばら。色鮮やかで、みずみずしく香り高いうちに、食用ばらは一つ一つ手作業で丁寧に、摘み取られていきます。それはひとえに皆さんに食べて感じてもらいたいという任務を持ったばらの宿命。しかも、安心・安全に。だから、食用ばらはきれいな湧水や有機肥料、新しい真砂土を使用し栽培されています。
鮮やかで美しい姿はもちろんのこと、栄養価や機能の可能性を、まだまだ内に秘めた食用ばら。農園に咲くばらはなかなかお目にかかれませんが、午後のお茶時間には、あちこちのティーカップに咲く可憐なばらたちを見かける日も、遠くないかもしれません。
審査員ポイント
安心・安全な食材の提供をモットーに、土や水、有機肥料など栽培方法にこだわった食用ばらは、技術的にも難しく手間のかかるもの。他の食用ばらと比べても香り・品質が高い。
生産体制の確立に向けた取り組みや地域ブランド創出のための地域内連携を生み出している点が高く評価されます。食用ばらを使用した商品を作る企業と連携することで、ばらのまち福山の魅力がより一層伝わると思います。
「食べられるばら」だからこそ、
育てる環境にもこだわりたい。
2007年から「食べられるばら」の栽培を始めました。人が気持ちよく過ごせる環境をばらにも与えようと、農薬を使わず有機肥料で栽培しているほか、人工の物質が入っていない山の湧水を使用しています。のびのびと育つように、露地栽培というのもこだわりです。ビニールをかぶせてしまうと、ばら本来の味や色がしないんですよ。最初は2~3本から始まった食用ばらの栽培も、今ではおよそ2ha8,000本を育てるまでになりました。元々は繊維業を営んでいたのですが、今では食用ばらを栽培するほど、ばらに魅せられてしまいました。その理由は、福山が持つばらのストーリーです。
ひとつの庭園から始まった「ばら」の歴史。
福山のばらの歴史は、1945年8月8日の福山空襲がきっかけだということは、福山の方ならよくご存知ですよね。なぜばらなのか?私が30代の頃、「中村金二さんが戦後、自宅にばら園をつくった」という記事を見つけました。それから中村さんのご家族に話を伺いました。
1949年、中村さんが横浜で開催された博覧会できれいなばらを見つけました。翌年、自宅庭園に30本のばらを植え、年々増やしてこられたそうです。当時,福山でばらを植えているところはなかったとか。あまりにきれいなばらの庭園に、市民は驚きそして心の癒しにもなったそうです。
1954年に中村さんは亡くなってしまいましたが、ばら園は引き継がれました。こうしたこともあり1956年春、『戦災で荒廃した街に潤いを与え、人々の心に和らぎを取り戻そう』と、今のばら公園付近の人々が1000本のばらを植えました。そこからは、皆さんがご存知のとおりです。この中村さんの庭園がなければ、福山のばらの歴史はなかったかもしれないと思っているんです。一人の方の庭園から始まった福山のばらの物語は、どの地域も決して真似することができないものです。
マチモト株式会社 代表取締役
町本 義孝さん
可能性を秘めた「ばら」。
ドイツでは古くから、ばらは体に良い植物として知られています。タンニンという苦み成分が有用な成分であり、同じタンニンを含むものにお茶やコーヒーがあります。これらはカフェインが含まれていますが、ばらには含まれていません。ばらの魅力は見た目や香りだけでなく、健康にも良いんですよ。
日々の食卓に「ばら」の美しさを。
食用のばらが実現するまでの道のりは簡単ではありませんでした。食用に向く種類を調べ、栽培して徹底的に検証を繰り返す中で、ダマスク系の香りをもつ赤(四季咲き)とピンク(一季咲き)の2種類の食用ばらにたどり着きました。そこからジュースやジャム、お茶など様々な加工品が生まれています。特にばらのお茶は、色の変化で楽しませてくれます。農薬を使わず有機肥料で育てれば、誰もがばらのお茶を作ることができます。福山の人の家に行けば、ばらのお茶が出てくるなんてことになればおもしろいですよね。こんなことができるのも、これまで福山でばらに取り組んできたいろんな人たちのおかげです。積み重ねてきたばらの歴史や、携わってきた人の思いを知ると、伝わってくるものがありますよね。
「ばらを食べること」を文化に。
福山の人にもっとばらを楽しんでほしいというのが私の強い思いです。食用ばらを素材として他の地域へ広めていくよりも、福山の人たちがおもしろがって魅力的な加工食品にして広めていけば、福山のばらがもっともっと伝わっていくでしょう。福山ではまちのあちこちでばらを見ることができます。街路樹のそばで、お店の軒先で、人々の家の前で。花を植えるのならと、福山に暮らす人それぞれが、ばらを意識して生まれた風景です。そこに、「ばらを食す」という文化が根付いたら福山の街はもっと楽しくなる気がします。
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